今回のSDGs講座は株式会社JTBの方を講師としてお招きし、“地方創生”についてお話いただきました。
講座冒頭で“人口が減ると地域を循環するお金が少なくなり、地域経済が縮小することでいずれ地域そのものが無くなってしまう”という人口が減少することで起こる問題が語られました。「日本は人口が減ってきており、2060年には人口は半分になってしまう。横浜市でもすでに人口が減っている地域がある。」というJTB講師からの問題提起に、生徒たちは人口減少が横浜でも進んでいる現実に驚きつつも、真剣に耳を傾ける様子が見られました。
次に人口区分について、地域に住んでいる人々のことを指す「定住人口」、地域を訪れる人々を「交流人口」、地域と多様に関わる人々を「関係人口」としたクイズが行われました。更に、食や農業を観光に繋げる「食農観光」や農家の後継者問題の解決に向けた「就農支援」、外国人観光客を増やす「訪日プロモーション」など、「交流人口」を増やし地域経済の維持を目指すJTBのさまざまな取り組みの紹介がありました。
生徒からは「地方創生といっても、地方には現状のままが良いと言う人もいると思いますが、どうすれば納得してもらえるのでしょうか?」という鋭い質問が挙がりました。講師はすごく難しい問題で良い観点だと感心しつつ「変わらない=現状の生活の維持ではありません。人口が減っていくことは変えられない事実。何かを変えなければその地域は無くなってしまうので、地域の人々と丁寧に将来なりたい社会のイメージをすり合わせながら互いに協力し合い進められるよう調整していく必要がある。」と答えました。
人口減少や地方創生といった新たな課題に触れた生徒たち。多様な問題意識をもつための良いきっかけとなったようです。
神奈川県立市ケ尾高等学校
植松雪音さん
“地方創生”というキーワードを最近知ったばかりでした。もしかしたら私たちが住んでいる横浜市が将来無くなるかもしれないというJTBさんのお話を聞き、とても驚きました。SDGsというと環境問題のイメージが強いのですが、自分たちの住む地域に関わる身近な問題や取り組みをもっと知っていきたいと思いました。地域の存在を知ることで“交流人口”になり、交流人口を増やすことが地域貢献に繋がるということを今回の講座で知りました。地域のHPを見たり特産品を調べるといった身近なことが第一歩になるのではと思ったので、これから実際に参加していきたいです。
神奈川県立市ケ尾高等学校
貴田雅也さん
横浜の人口が将来的に減っていくと知って、自分の身近なところでも少子化が起きていることに気が付きました。中学校の遠足で行った横浜中華街の行列がとても印象に残っているのですが、その大勢の人たちが将来的にはいなくなってしまうと思うと不安に感じました。以前、自分が地域のゴミ拾いをした際に一年後にはゴミ拾いをする前よりも掃除した場所が汚くなっていたことがあり、人がポイ捨てをしないように意識から変える必要があると感じたことがあります。今回の講座でも地域を知ろうとするようみんなの意識が変わることが問題の解決に繋がると思いました。
神奈川県立市ケ尾高等学校
山口一希先生
9月に修学旅行で徳島県のにし阿波地区という世界農業遺産に行ってきたばかりでしたので、今回の講座でお話いただいた“地方創生”という内容がタイムリーでとても良い機会だったと思っております。基本的に都会で育ってきた子どもたちが、修学旅行先で人の少なさや高齢化、日が暮れた後の町の暗さなど、地方の現状を目の当たりにしたところに、今後横浜でも少子高齢化が進んでいくというお話を聞いたことで、何かの気付きに繋がれば良いと思います。生徒たちには日本に限らず自分たちが住んでいる地域以外で何が起きているのかに目を向けられる大人になってくれることを期待しています。