講座のメインテーマはダイバーシティ&インクルージョンと女性活躍について。
講座冒頭でファンケルがダイバーシティ推進のために実際に行なっている取り組みを紹介。その後、日本のジェンダーギャップ指数が世界的に低い水準であることなどの課題を共有しました。
その後に行われたディスカッションはとても白熱した内容となりました。
「なぜ日本は男女格差が大きいのか」というテーマのディスカッションでは、「日本は欧米などと比べて人種の多様性が乏しいため、古い価値観が受け継がれてしまっている。日本では男性が働き、女性は家を守るという考え方が根強く、女性は出産などで休職せざるを得ない期間がある。能力が評価されることが浸透すれば改善するのではないか」といった意見が聞かれました。
「女性活躍を推進するために個人や企業はどんな取り組みが必要か」というディスカッションでは、「古い価値観を持った世代が高い地位に就いているので、女性の社会進出のための環境づくりが難しい。すぐにマインドを変えることはできないので、そういった世代に向けたセミナーを開催し理解を進めることが大事」や「男子校だと女性との関わりが少なく、思想が固まってしまうと思う。社会に出た時のためにも共学を進めていった方が良い」という意見が挙がりました。中には「ジェンダー平等は性別は関係なく役割を均すという考え方。対して多様性は各々の得意なところを認め合おうという考えなので矛盾があると感じる」という疑問を呈するものもありました。これに対して講師は「最後に伝えたかったことを全てまとめてくれた!」とよろこびながら「男だから女だからではなく、誰もが得意なことを活かして、自分らしく生きられる世界になることが目標というのが贈りたかったメッセージ」とコメントしました。
今回の講座は、通常よりもディスカッションの時間を多く設けられましたが、全ての意見を取り上げられないほど積極的に意見が挙がり、内容も非常に多彩で奥行きのあるものでした。世の中に対して問題意識を持ち、自身の考えを伝えることは問題を解決するための第一歩です。今回のディスカッションの生徒たちの様子は、すでに一人ひとりが日常的に一歩を踏み出していると感じられるものでした。たとえ自身とは違う考えであっても認め合うことこそがダイバーシティです。その本質に近づく稀有な講座となりました。
聖光学院高等学校
諸谷龍太郎さん
SDGsやジェンダー平等などは、これまではどうしても漠然としていると感じていました。今回の講座で真剣に意見を交わし合い、実際の企業の取り組みを知ることで自分の中でより具体化したと思います。ファンケルの取り組みとして、障がいの有無や人種・性別を超えて様々な価値観を持った人たちとプロジェクトを進めていると聞いてとても良いなと思いました。男子校で学んでいるため、様々な価値観を持った人と真剣に議論ができるということはとても重要なのだと思います。自分自身は、多くの価値観を認める多様性と男女格差をなくすということは矛盾があるのではないかと感じました。あまり一つの型にはまりすぎず、適材適所で自分のできることを伸ばせる社会を目指していければ良いと思います。
聖光学院高等学校
香川誠道さん
日本は昔は単一性が強い傾向にあったと思いますが、今は企業がグローバル化していくにあたり多様性を認めるように変化している時代なのだと思います。障がい者雇用については、数字上では増えてきていますが、実際は重度の障がいを持つ方がまだ社会に進出できていないと感じているので、僕らの世代が取り組んでいく課題だと思っています。現在僕自身は、移民への理解を訴えたり援助をするためのホームページを立ち上げてクラウドファンディングを依頼する活動をしています。今の自分にできることを進めながら、将来は積極的に問題の解決に取り組める仕事に就くことが目標です。例えば人権なら人権、エネルギーならエネルギーというような、その分野に興味を持った人が問題に取り掛かった方が良いと思います。そのためには、様々な問題に興味を持てるような教育も重要だと思いますし、興味を持った人が率先して社会を引っ張っていけるような環境づくりも必要だと感じています。
聖光学院高等学校
花家徹副校長
本校は男子校ということもあり、ダイバーシティや女性活躍を講座のテーマを選択しました。230名近くの生徒が参加するため、ディスカッションの時間を多く設けていただきました。とても活発に意見が挙がり、生徒たちが普段どのようなことを考えているのかを聞くことができ非常に参考になりました。各々が本気で意見を発表し、互いに刺激し合い反応していると感じました。まさに対話の場そのものがダイバーシティになっており、とてもおもしろかったです。生徒たちは将来的に様々な分野に進んで行きます。社会に出た後に、何らかの場面で今回の講座を思い出してもらえれば嬉しいです。とても示唆に富んだ時間になったと思います。